やったほうがいいこと、日々実践したいこと。でも後回しになっているもの。それについて あえて時間を決めてみんなで集まってやる時間にしよう!というのが「土曜ストア会」 という「ゆる会」です。

「自分にできること」と「自分にはどうにもできないこと」とを、きちんと見分けよ。

── エピクテトス

2026年4月4日(土)10:00〜11:00、土曜ストア会の第1回をプレ会として開催しました。参加者5名、オンライン(Google Meet)にて。

「ストア哲学とは何か」+ コントロールの二分法による「自己メンテナンスワーク」

土曜ストア会の目的
スライドp.4 ── 土曜ストア会のコンセプト

プレ会ということで、まずストア哲学そのものを知ってもらうところから。2300年前のギリシャで生まれた「実践哲学」の全体像を共有し、後半ではストア哲学の代表的なワーク「コントロールの二分法」を実際にやってみました。

特に、ストア派の特徴である「自然=論理的帰結(必然性)」という考え方や、 「書く瞑想」という実践哲学である魅力 を共有しました。

ストア哲学ツアー ── 2300年前の「実践哲学」

ストア哲学は紀元前3世紀のギリシャで生まれた古典哲学。日本語の「ストイック」の語源でもあるけれど、元々の意味は「禁欲的に耐える人」ではなく、「自然の法則を理解し、限りある人生を味わい尽くすための知恵を実行する人」

土曜ストア会では、ストア哲学の5つの柱を紹介しました。

ストア派の主な考え方
スライドp.11 ── 土曜ストア会ではコントロールの二分法ワークがメインになるため、2を強調した
  1. メメント・モリ ── いつも死と終わりがあることを忘れずに生きる
  2. コントロールの二分法 ── 自分にできることと、できないことを分けて力を注ぐ
  3. 知恵・愛・品性 ── 自分の品性はコントロールできるものである
  4. 世界市民主義 ── 人間は自然の共同体の一員として生きている
  5. 自然の法則に従う生き方 ── 科学的・物理的な法則を前提にした哲学

諸注意として、ストア派の哲学は宗教や自己啓発やスピリチュアルといったものではないことを強調しました。

特に、「5:自然の法則に従う」のような表現は、生物環境保護や自然崇拝のような意味での「自然」として日本語では捉えがちですが、ストア派のいう「自然」とは 論理的に導き出される法則 のことを指し、「自然とそうなる」「世界はこういう理屈で動いている」のような意味合いで使います。

5:自然の法則に従う生き方の例

  • 生物はいつか死や終わりを迎えること→だからこそ時間を大切に
  • 人間は一人では生きていけない、ということ→だから共同体を重視
  • 天候や災害の発生はコントロールできない→ただし備えや対策はできる
  • 死後の世界があるかどうかは「わからない」
  • 人間は老いる→だから若くいることより、年齢相応に魅力的になる

ストア派は、この論理的に導かれる「自然」をベースとして、どう生きるか?を考えます。

再注目されるストア派

代表的な哲学者として、時間の哲学者 セネカ、奴隷から哲学者になった エピクテトス、そして「書く瞑想」を実践したローマ皇帝 マルクス・アウレリウス の3人を紹介。

ストア哲学が現代で再注目されている背景として、NASAの宇宙飛行士やシリコンバレーの経営者、トップアスリートが思考フレームワークとして採用していることにも触れました。宗教でも自己啓発でもない、「実践の哲学」という立ち位置が特徴です。

マルクス・アウレリウスの言葉
スライドp.15 ── 「善い人とは何かを論じるのをやめなさい。実際にそのような人間になりなさい」

自己メンテナンスワーク

後半は、ストア哲学の代表的な「コントロールの二分法」を使い、短時間で自分を客観視してメンテナンスする「自己メンテナンスワーク」を全員で実施しました。これは土曜ストア会のメイン活動になります。

コントロールの二分法
スライドp.26 ── 「自分次第なこと」と「影響の範囲外のこと」を明確に分ける

主催者のデモでは「睡眠時間が短い」をテーマに実施。要素を分解していくと、最終的に「音のでかい目覚ましを買う」「スマホを寝室から出す」というシンプルなアクションに行き着きました。

なんとなく頭の中ではわかっていて「わざわざワークとして書き出してやる意味もない」と思っているようなことでも、実際に書き出してみると新しい発見があるから面白いところです。この点は 体験してみないとわからない面白さ があります。

ワーク中の実際のメモ
ワーク中の実際のメモ ── そうか目覚まし時計で解決するのか、という発見

コントロールできないことに意識を割くノイズを減らし、やるべきことをクリアにする。次回時間で出来るワークですが、書かないとわからないことがやはりあり、人間の脳は高性能だけれども意外と混線しているものだ、ということが再確認できます。まさに「書く瞑想」です。

この「書く瞑想」は日々実践したいものではありますが、なんやかんやと日常で忙しいとついやらなくなるものですので、 あえて時間をロックしてみんなでやろう!というのが「土曜ストア会」 です。

参加者の声・気づき

  • 将来のコントロールできないことを考えている度合いが大きかった。それよりもいまやるべきことをやったほうがいいという、当たり前そうな結論だがそれが意外とわかっていない・できていないことに気づいた
  • ストア哲学は日本人の価値観や感覚に近いと感じた。仏教との類似点も多く、入りやすいと感じた
  • 目標設定をしていない自分に気づいた。日々の「まあいいか」という思考が見えた
  • 深いテーマだとアンコントローラブルな要素ばかりになる。身近なテーマから始めるのがよさそう
  • ストア哲学は「応用するもの」ではなく、日々の思考整理そのものがなんだと理解できた

ストア哲学メモ

今回触れた概念の補足です。

コントロールの二分法(ディコトミー・オブ・コントロール)
エピクテトスが提唱した概念。「われわれの権内にあるもの」と「権内にないもの」を区別し、権内にあるものだけに集中すること。現代の認知行動療法やストレスマネジメントの源流ともいわれています。

人生は短いのではない。私たちがそれを無駄にしているのだ。

── セネカ『人生の短さについて』

次回予告

  • 日時:
  • 場所: Google Meet(URLはLINE公式アカウントから配信)